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ピアサポートに関する基本的な知識をQ&A形式でまとめました。
(これらの内容は『ピアサポーター養成テキスト 2020年度版』に準拠しています)
A: ピアサポートとは、同じ体験をした仲間(ピア)が相互に助けあう(サポート)ことです。
がんだけでなく様々な病気や、教育現場などで行われています。
A: がんのピアサポートとは、がんを自身が体験、もしくは家族として体験された方の支えあいです。
人数、運営主体開催場所などに様々な形があります。
A: ピアサポーターとは自身もしくは家族としてがんを体験し、同じような病気を患う患者、家族(ピアサポートの利用者)に対してサポートを行おうとする人です。
A: がんと診断されて治癒した人はもちろん、現在治療中の人でも、体調が良好で精神的に余裕がある状態であるならなることができます。
また、がん患者の遺族、あるいは家族同然にがん患者と深くかかわってきた人もなることができます。
A: ピアサポーターは、同じ体験をした仲間ならではの支援ができます。
例えば気持ちを共有したり、実体験に基づいてアドバイスできたりすることがあるかもしれません。
A: 医療者は患者に対し、病気や困りごとなどの専門領域に関して責任をもって対応する役割・義務があります。
対してピアサポーターは、利用者との間で話を聞き、ともに考えることが役割としてあるだけで、取り扱う問題や最善の解決法を提供する役割や義務・責任はありません。
A: そのようなことはありません。
例えば主に地域で活動を続けている患者会では、ピアサポートという言葉ががんの分野で使われるずっと以前からピアサポートが日常的に行われています。
A: ピアサポーターは利用者の話を聞き、体験を共有し、ともに考えていく活動を行います。
じっくり話をすることで、利用者は自分の気持ちが受け入れられ、悩みが整理されたと感じられることがあります。
A: ピアサポーターは自分の貴重な体験をピアサポート活動に生かすために、自分の体験を振り返り、語る準備をしておく必要があります。
ただし、自分のすべてを公開しなければならないわけではありません。自分の話せる範囲を知っておくことが大切です。
A: ①プライバシーを守ること②医療行為に関する内容に踏み込まないことなどが挙げられます。
A: バウンダリーとは、「私」と「相手」との境界ことで 、「相手も自分相手、大切にする」という、安心で安全なピアサポートの根底にあるものです。
A: 人と人との関係では、「相手のために何かしてあげたい」という気持ちが強ければ強いほど、「自分が無理をしてしまう」ということが起こりやすくなります。
しかし、お互いを尊重し、守るためには「自分にはここまではできるけど、これ以上は難しい」というような一定の境界を設け、意識することが大切になります。
A: 自分の体調に気を配り、ピアサポートの場とプライベートの場をきちんと分けること、ピアサポート活動で困ったことがあったときに相談をする場を持つことなどが挙げられます。
A: がんサロンとは、がん患者やその家族などが集まり、交流や情報交換をする場のことを指します。
同じ「がんサロン」でも、個人的に相談できる場所としてのサロン、毎回固定したメンバーが参加するサロンなど活動に幅があります。
A: がんサロンにはがん患者とその家族などが参加します。
がんサロンを安全に、有益に運営するため、参加者に関する取り決め(例えば若い人だけ、家族だけ、特定の部位の体験者だけなど)をすることがあります。病院内のサロンではその病院に通院している患者に限る場合があります。
A: 医療機関内で開催されるがんサロンと、医療機関外で開催されるがんサロンがあります。
医療機関外での開催は、例えばがん患者団体の事務所、公民館などの会議室、個人宅など様々な場所で行われています。また、特定の日(例えば月に1回、週に1回など)に開催するのが一般的です。
A: がんサロンを主催する運営者、運営を手伝う人、進行役、参加者として語り合いに加わる人などがいます。がんサロンの形式によってはそのほかの役割を持つ人がいる場合もあります。
A: 準備として、それぞれのがんサロンの実情に合わせたルールの作成、手伝ってくれるスタッフの確保、がんサロンを知ってもらう広報活動などがあります。
実施するときには会場の設営、会の進行、終了後にがんサロンの運営を手伝ったスタッフ全員で振り返りを行うなどします。
A: それぞれの参加者を尊重し、安心して発言できる居心地の良い、参加してよかったと思える場づくりを目指すことが大切でしょう。
そのためには呼びかけ方を各がんサロンの実情に合わせて工夫したり、発言機会を公平にするようにしたり、参加者の意向を大切にすることが必要かもしれません。
A: 対がん協会のHPでは、対応事例をDVDで紹介していますので、テキストと併せて参考にしていただければと思います。
A: 医学の進歩とともに、がんイコール死ではなく、がんと共に生きる時代となりました。
それでも、多くのがん患者さんががんであることからくる不安や、生きにくさをもちながら生活している現状があります。
そのようなときに、同じがんと診断され病気とともに生きてきた体験者と出会い、寄り添って話を聴いてもらうことで、自分一人ではないと孤独感が和らぎ安心感が得られます。
患者さんや家族が、がん治療を継続するためには、がんであることととともに生き続けていく力が大事であり、ピアサポート活動が求められている所以です。
A: ピアサポーターが病院内で活動するときは、医療者がピアサポート活動の意義を理解し、しっかり連携・支援をすることでピアサポーターは力を発揮することができます。
そのためには院内での理解者・協力者を増やしたり、ピアサポーターの立場を理解したりしていくことが求められます。
そのうえで企画書の作成、院内の組織作り、予算の確保、ピアサポート活動の決まりごとの作成、患者さんやご家族などへの広報、院内の職員への周知などが実施されるとよいかと思われます。
A: 2006年(平成18年)6月23日に「がん対策基本法」が公布されました。
日本人の死因で最も多いがんの対策のために、国、地方公共団体等の責務を明確にし、基本的施策、対策の推進に関する計画や、がん対策推進協議会を置くことなどを定めた法律です。
また、2016年(平成28年)12月9日の「改正がん対策基本法」、2018年(平成30年)3月9日「第3期がん対策基本計画」の閣議決定、2018年(平成30年)7月31日の「がん診療連携拠点病院等の設備について(厚生労働省健康局通知)」といった経緯を経て、行政もピアサポートの支援に積極的に参加する仲間の一人であることが明記され、医療、地域におけるサロン活動を支援していくことが求められています。