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ピア・サポーター養成研修会 開催指針

自治体がピア・サポーターの養成に取り組む際の目安を示すことを目的に、必須プログラムと目的に応じて選択できる
プログラムなどに分類して開催指針を作成しました。
下記の開催指針と、「ピア・サポーター養成テキスト」やスライドをあわせてご活用ください。
ピア・サポーター養成研修会開催指針のPDFはこちらから
「ピア・サポーター養成テキスト」やスライドはこちらから

ピア・サポーター養成研修会 開催指針

第1 趣旨

本指針は、がん対策基本法の基本理念に「がん患者が尊厳を保持しつつ安心して暮らすことのできる社会の構築を目指し、がん患者が、その置かれている状況に応じ、適切ながん医療のみならず、福祉的支援、教育的支援その他の必要な支援を受けることができるようにするとともに、がん患者に関する国民の理解が深められ、がん患者が円滑な社会生活を営むことができる社会環境の整備が図られること。」が掲げられていることを踏まえ、自身もしくは家族としてがんを体験し、ピア・サポーターを目指す者に対して実施するピア・サポーター養成研修会(以下、研修会)に関する事項を定めたものである。研修会の質の確保を図り、ピア・サポートに関する基本的な知識と技能の確保に資することを目的とするものである。
なおこの指針は厚生労働省委託事業「がん総合相談に携わる者に対する研修事業(平成30年度~令和5年度)」の一環として作成されているため、この研修会を修了したピア・サポーターが、がん診療連携拠点病院等の医療機関内で活動することを主な目的とし、相談員としての訓練が十分でなくても自分の体験を生かして行うピア・サポーターの養成を対象とした研修会の開催指針である。そのため、患者会などが主体になり地域等で活動を行うことを想定した研修会や、相談員として利用者の幅広い相談への対応を行えるピア・サポーター(ピア・スペシャリスト)を養成するための研修会の開催指針ではないことを留意されたい。

第2 ピア・サポーター養成研修会の開催指針

1⃣ ピア・サポーター養成研修会の実施主体

都道府県、当該都道府県内のがん診療連携拠点病院等や地域統括相談支援センター、がん患者団体等の民間団体等が協力し実施すること。

2⃣ ピア・サポーター養成研修会を行う上で設置する者について

次に掲げる者で構成される研修会実施担当者が、研修会の企画、運営、進行等を行うこと。
①研修会主催責任者 1名以上 ※研修会を主催する責任者、修了書を発行する場合に主催者として記載される者
※②との兼務も可
②研修会企画責任者 1名以上 ※企画、運営、講義、進行等を行う責任者
③研修会協力者 ロールプレイの1グループ当たり1名以上
※企画、運営、講義、進行等に協力する者
※研修会を修了した者又はこれと同等以上の能力を有する者。医療従事者(多職種)、ピア・サポート経験者で構成されることが望ましい。

3⃣ ピア・サポーター養成研修会の研修対象者

自身もしくは家族としてがんを体験し、同じような病気を患う患者、家族に対してサポートを行おうとする者を対象とする。
また、がん診療連携拠点病院等で実施されるピア・サポート活動や患者サロン活動等に携わる医療従事者も受講、見学したり、研修会協力者として参加したりすることが望ましい。

4⃣ ピア・サポーター養成研修会の開催形式

ピア・サポーター養成研修会は、講義形式、ワークショップ(参加者主体の体験型研修)形式を組み合わせて実施すること。なお、状況に応じてオンライン上で実施することも可能である。

5⃣ ピア・サポーター養成研修会のプログラム

プログラムには、次の(ⅰ)に掲げる項目を必ず含むこととし、受講生の学習ニーズや地域の実情に応じて、(ⅱ)(ⅲ)に掲げる項目を組み合わせるものとする。
注)プログラム名は日本サイコオンコロジー学会で作成した 標準プログラム、スライドに準拠して記載。スライド内容は各地域の実情に応じて変更してかまわないが、その際はオリジナルスライドであることが明確にわかるようにすること。

(ⅰ)次に掲げる内容を必ず含むこと。

●(ア) ピア・サポートとは(ピア・サポーターの活動内容、形態の多様性を学ぶもの)【30分】
●(イ) 相手を大切にすること、自分を大切にすること(バウンダリーについて学ぶもの)【40分】
●(ウ) ピア・サポーターの役割と活動指針(守秘義務や医療行為そのものに介入しないことなど、医療機関でピア・サポートを行う際に注意すべき点を学ぶもの)【60分】

(ⅱ)次に掲げる内容を、なるべく取り入れること。

●(ア) 自分の体験を語る(自分の体験を言葉として振り返り、体験を整理しておくことの大切さを学ぶもの)【1人あたり3分程度+振り返り2分程度】
●(イ) ロールプレイ(実際に相談対応を経験するもの)【120分】
●(ウ) よりよいコミュニケーションのために(ピア・サポーターが身に着けておくべき基本的コミュニケーションスキルを学ぶもの)【40分】
●(エ) がん診療の基本知識(ピア・サポート活動に際し、最低限知っておくべきがん医療情報を学ぶもの)【50分】
●(オ) ピア・サポーターが知っておくとよい情報、情報提供の注意点(困った時に相談できる場所、詳しい情報や最新の情報をどこで手に入れ、どのように提供するかを学ぶもの)【30分】

(ⅲ)次に掲げる内容を、学習ニーズや地域の実情に応じて設定するものとする。

●(ア) グループファシリテーションのために(患者サロン(がんサロン)、サポートグループ等の運営方法について学ぶもの)【40分】
●(イ) 行政・医療機関の役割について学ぼう(ピア・サポーターが活動する上での、行政や医療機関の役割について学ぶもの)【40分】

6⃣ ピア・サポーター養成研修会の修了証書

ピア・サポーターが医療機関で活躍しやすくするため、研修を修了したことを示す修了証書を発行することが望ましい。

7⃣ その他

(1) ピア・サポーター養成研修会開催マニュアルについて
研修会のテーマやプログラム構成、各プログラムの学習目的や進め方については日本サイコオンコロジー学会で作成した 「ピア・サポーター養成研修会開催マニュアル」を参考にする。

(2) 学習の継続
養成研修だけでなく、継続的な研修(フォローアップ研修会等)を実施し、ピア・サポーターのスキルアップ、学習機会の確保、ピア・サポーターのストレスマネジメント促進に努めること。

第3 ピア・サポーターが継続した活動を行うために

研修会を修了したピア・サポーターが、がん診療連携拠点病院等で継続した活動を行うためには、都道府県(自治体)、都道府県内のがん診療連携拠点病院等(以下、拠点病院)、都道府県がん対策推進協議会やがん診療連携協議会等の協議体等との連携が欠かせない。

(1) 都道府県(自治体)の役割について
都道府県(自治体)は、拠点病院等におけるピア・サポート活動を推進するために、ピア・サポーターを養成するとともに、継続的な研修を行う教育体制や研修修了者を活用するマネジメント体制を整備することが求められる。

(2) 協議体と拠点病院の役割について
都道府県(自治体)と都道府県がん対策推進協議会やがん診療連携協議会等の協議体は、都道府県がん対策推進計画にピア・サポーターの養成・活用に関する計画を策定し、他の拠点病院等は検討段階から主体的に参画する。具体的には、ピア・サポーターの活動の場の設定、養成研修会の企画・開催、拠点病院等での活用計画の策定、登録制度・派遣を含めた活用制度、定期的な更新制度の構築、継続的な研修(フォローアップ研修等)の企画・開催に関する計画を立てることが求められる。

(3) 各拠点病院等の役割について
各拠点病院等は、ピア・サポート活動の意義を理解し、都道府県(自治体)や各拠点病院等と協力して計画を立て、ピア・サポート活動の支援を行うことが求められる。具体的には、施設内においてピア・サポート活動や患者サロン活動を推進する部署・担当者を明確に定め、それらの活動計画を立案し、研修を修了したピア・サポーターや、十分な経験を持つ患者団体等と連携し患者サロンの企画・運営を行うことなどが求められる。

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